方丈記

[タイトル] すらすら読める方丈記
[著者] 中野孝次
[形式] Kindle版
[金額] ¥330
[内容] 鴨長明の方丈記、現代語訳と解説付き。

[感想]鴨長明は平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての人ですが、現代でも頻繁に語られる超有名人です。もしかしたら同時代の清盛さんや頼朝さんより語られているかもしれないとさえ思います。

[雑記]「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。・・・」
高校時代だったでしょうか、いろいろなものを暗記し(させられ)ました。
「いずれの御時にか」「祇園精舎の」「男もすなる」「つれづれなるままに」そして「ゆく河の流れ」。
すべてはじまりのフレーズのみの暗記でした。
中でも比較的長めに覚えたのが「いずれの御時にか」と「祇園精舎の」と「ゆく河の流れ」でした。
「ゆく河の流れ」は、覚えやすかったのと結構好きだったのとで、わりとさっくり覚えたほうでした。
アマゾンで最大50%オフのセールをやっていたので、欲しい物リストの中から50%オフになっていた2冊を購入しまして、方丈記はそのうちの1冊です。
¥330の元は取れていると威張ります(^^)v

方丈記は短いです。
最初の「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。」これがほぼ全てで、その後はその具体例が書いてあると言えます。

昔ありし家は稀なり。
工事中のところ前は何があったんだっけ?
あれぇお蕎麦屋さん無くなってる!
などは日常茶飯事です。

更に昔はよく火事で焼けます。
「すべて都のうち、三分が一に及べリとぞ。」
もし東京の三分の一が焼けたら関東大震災の映像のようになるでしょうか。
でもその時は「男女死ぬるもの数十人」だそうです。
何でもかんでも現代に置き換えようとするのは気をつけて考えなければいけません。

平清盛が福原に遷都すると言い出したときは、
「家屋は解体され、筏に組まれて淀河に浮び」ということになっています。
これはつまり、引越しは家ごとを持って移動ということです。
さすが木造家屋の国です。
柱や屋根を束ねて筏で運んで、新しい土地でまた組み立てる。
SDGs!持続可能な開発目標!住み続けられるまちづくりを!つくる責任つかう責任!

養和の飢饉もあったそうです。
「春・夏ひでり、或は秋・冬、大風・洪水など、よからぬ事どもうち続きて」
あらら、それ今でもうち続いています。
「さまざまの御祈りはじまりて」
対策は打たれず、ひたすら祈るばかり。
元暦の大地震もあったそうです。
「山はくずれて、河は埋み、海は傾きて、陸地をひたせり。土避けて、水湧き出て、巌割れて、谷にまろび入る」
崖崩れも津波も地割れも液状化も。。。

そんなこんなで長明さんは方丈の庵に住み始めました。
方丈は3メートル四方で四畳半よりちょっと大きいくらいとか。
材料は車二両分だそうで、いつでも移動できると言っています。
私もそんなに大きな家が欲しいとは思いませんが、さすがにキッチン&バスルーム無しはちょっとキビシイと思います。
それにそんな材料の家では、台風の時濡れそうだし、冬は風が入って寒そうだし、夏は蚊に食われて泣きそうだし、全然魅力的に思えません。
居間が方丈サイズというのだったらイケる気はします。

先に読んだ方の感想に『読む人によって、距離感はまちまちでしょう』とありました。
本当にそうですね。
私の距離感はこんな感じでした。

コメント

  1. もも より:

    現代語訳併記の物を読んだことがあります。
    台風に地震、火事、感染症があるからと嘆いているけど、いつまで嘆いてるのか、対策しなさいよ。その答えが、人混みから離れた場所で、いつでも再建できるミニマムライフと畳んで移動できる狭小住宅なのだ、というのが主張なんだと感じつつ読みました。
    今でも台風、地震、水害は毎年起こるのに、対策は十分ではないですね。感染症がひとたび発生すれば、便利な人混みは害となるのは、まさに今痛感します。変わってないもんですね。
    ただ、天候はかなり変わりました。12月に雪が降るようになってしまったここで隙間風は無理だし、40度を超える夏には積極的に人も食材も冷やさないと命に関わるし。
    持てる人が敢えて持たない暮らしをするのはご自由にと思います。持ってない人は街にいないと生きられないってことは、おそらくご存じなかったのだろうと思うんですね。キャンピングカーで暮らすのは、日本では現実的ではありませんし、住所に紐付いていないと生活に支障がある仕組みで社会ができていますし。現代人は不自由ですね。

    • ラ・ロズレ より:

      はい、感想を仰ったご本人ですからね(^^)
      長明さんは元はお寺のいいとこの方らしいので、好きでやるという余裕があり、他に選択肢がないのとは違っています。
      現代に置き換えて解説しているものが大多数で、置き換えられることは確かにすごいことですが、何しろ鎌倉時代。
      マイナンバーカードで管理されない自由、なんてものがなくなる現代とは異なる時代です。
      結局のところ、方丈記は文学、それで良いのではないかなぁと思ったりします。
      読んだ人は感想や意見を堂々と発言できますね(^^)v

  2. Keiko より:

    まさに読書の秋!ですね。^^

    • ラ・ロズレ より:

      食欲の秋は殊更言うまでもなく、スポーツはやっておりませんので、読書の秋がアピールポイントです(^^)v