日本百科大辞典

明治41年から大正8年の三省堂の『日本百科大辞典』。
今、神保町本店で 創業130周年記念 「三省堂 近代辞書の歴史展」 をやっています。
古い辞書があれこれガラスケースに入っていて、見るともなしに見ていたら・・・・・・
『日本百科大辞典』の展示は、まるでキングジムのファイルのように百科事典を立てて展示してあるのですが、その中の1ページだけ見本に開いてありました。
そのページが、なんとバラのページだったのです。
バラの神様が私に見て行けとの仰せで。
明治・大正の百科事典にも勿論バラの項目があります。
項目名は「バラ」ではなく「いばら」。
『ば』ではなく『い』を探さなければいけません。
1ページ3段組で、「いばら」の項目は1ページと3分の1で改ページとなっていました。
あと1段?2段?・・・2ページもページを割いているのかもしれません。
バラの種類から、西洋のバラの扱い、日本のバラの種類まで、現代と変わらずしっかりと語られていました。
(ガラスに顔をつけて懸命に読んでいた怪しい客は私です^^;)
現代のように写真はありませんから、ルドゥテとはいかないまでもバラのボタニカルアートがカラーで載っています。
絵のほうは「薔薇科の植物」というページが展示されていました。
梅、桜、木瓜・・・と並んで薔薇。
もっとも書き方は「(らばい)薇薔」と、右から左でしたが。
そのバラの絵が、ちょっと不思議でした。
色は白、花びらは八重で4段重ねくらい、緑の大きな芯があり、その周りに黄色い短いしべがあり、ボタンアイどころかまるで菊類か何かのよう、葉は7枚~5枚、棘もあり。
さて、この絵は何を参考に描かれたのでしょう?
ノイバラでなし(一重ではなく八重だもの)、難波茨でなし(難波も一重)、モッコウバラでなし(大きな芯があるから違う)、かといって庚申薔薇系のチャイナローズでもなし(菊みたいなチャイナはないと思う)。
この百科事典は、書店の方に尋ねたところによると、アナログでもデジタルでもアーカイブなどはないとのことなので、今回の展示でしか見ることが出来ないと思います。
歴史のある百科事典なのですから、資料室に厳重保管しているだけはなく、これからの時代はデジタル化して閲覧できるようにして欲しいですね、有料でいいので。
現物はもちろん大切ですが、しまっておいたら中身は一生見られません。
『日本百科大辞典』のバラに興味のある方、または神保町を通りかかった方は、是非、三省堂が”日本初の百科事典”と謳う『日本百科大辞典』のバラの絵をひと目ご覧になってください。
11/20(日)までやっています。
 
余談ですが。
本のタイトルは『日本百科大辞典』で”辞典”なのですが、内容は”事典”なので”日本初の百科事典”といってるのだと思います。辞典と事典が混在するのは私の変換ミスではありません。念のため。

コメント

  1. Keiko より:

    >バラの神様が私に見て行けとの仰せで。
    はい、その通りだと思います。
    ロズレさんには大きな指名があるのだと思わずにはいられません。^^
    百科事典をデジタル化するのは気の遠くなるような作業でしょうが
    将来のためにぜひやって欲しいですよね。
    紙はそのうち朽ちてしまうでしょうから。

  2. ラ・ロズレ より:

    バラだって誰かに見てもらえてこそ、そこに「価値」というものが生じるのですから。
    本だって、しかも事典なのですから人に知識を与えてこそのもの仕舞っておいてどうする・・・・・・と・・・・・・私がデジタル化するわけでないので、とりあえず言ってみます^^;
    実際は手袋して一枚一枚そっとめくって・・・なのでしょうね(ふぅ、←気が遠くなる音)