栄久庵さんの訃報と共に、栄久庵さんデザインのこの醤油卓上瓶の写真がネット上にたくさん出てきています。
小学生の頃、夏休みや冬休みに母の実家でお手伝いをしました。
この醤油瓶に水を入れて机の上に置いていくのが私の役目のひとつでした。
祖父は書道教室を開いていて、この醤油瓶は墨をする水を入れるのにぴったりだったのです。
お醤油をお皿に垂らす便利さと水を硯に垂らす便利さはイコールです。
10数個くらいあったでしょうか、水を入れ替えたり注ぎ足したりして机にセットして、座布団もセットして、生徒さんたちが来る前の準備に精を出しました。
当時は張り切って一生懸命にやったものですが、今思えば簡単な作業ですね(笑)
この瓶を見ると、お醤油ではなく、下町の母の実家を思い出します。
広い畳の部屋、洋間というものを増築してソファーなんていうものに座ってみた感動(洋間はお金持ちの家にあるものだった)、隣家と密着している開かずの窓から聞こえる隣家の九官鳥の声(窓を開けるとお隣さんと握手できたと思う)、2階を増築した時に初めてのぼった広くてつるつるした階段(平屋か団地にしか住んだことが無かったので室内の階段はびっくり)、そして屋根の上に忽然と現れたベランダという名の物干し台(屋根の上というのが楽しかった)、お祭りで掬った金魚、風鈴付きの吊りしのぶ、庭の夾竹桃、黒電話、小銭がずっしり入った祖母のがま口、ホットミルク・・・・・・
この瓶の中にはお醤油のほかに昭和という時代も入っているみたいです。
コメント
そうですかぁイタリアでもスーパーに並んでいるあの有名なお醤油の瓶はこの方がデザインなさったのですね。
また、ロズレさんのご幼少の頃のお話、しみじみと拝読しました。
私は一世代上ですが、まだまだ共通点がたくさんで嬉しかったです。
>当時は張り切って一生懸命にやったものですが、今思えば簡単な作業ですね(笑)
一生懸命にやる、
もしかして今の子供たちに欠けているのはそのへんなのではないでしょうか?
そしてロズレさんのお祖父様は偉い!
わたしも少し書道教室に通っていましたが、硯にセットされている水入れは小さすぎてそこに水をこぼさずに入れるのが難しかったです。(笑)
シンプルで美しくて機能性を兼ね備えているものは廃れませんよね。
世界で売られているのなら、お醤油でなくても、お酢とかそれこそ水差しとかで使っていただけたら嬉しいですけれど。
冬休みの書初めの宿題は、祖父にいつも実物大のお手本を書いてもらって、広い場所で心置きなく何度も書いて添削してもらって、そこそこな提出をすることが出来たのでいつも楽しかったものでした。
こういうお話を書けるロズレさんはやっぱりすてきです。
実はね、我が家・・・このビンを使っています。
なんだか時代もので・・・いい加減に他のモノと換えようかな?と思いつつ今日まで。
さすがにお客さんのときは、使い勝手では引けを取る今風のモノを出しますが^^;;
でも、なんだか自信もっちゃいましたょ。
こうして記事に写るとカッコイイではありませんか♪
長年廃れないものには、機能と共に「美」もあるのですよね。
色付けか絵付けしちゃうとか、どうですか?(^^)
そういえばジョウロも当たり外れありますね、見た目は可愛いのに水の出方がイマイチとか。
道具って奥が深いです。。。