日の名残り

[タイトル] 日の名残り
[著者] カズオ・イシグロ
[形式] Kindle版
[金額] ¥617
[内容] 英国の執事の回想録。ブッカー賞受賞作。

[感想]
日本に住んでいる一般の人(私)が思うようないかにも英国っぽい空気が漂っている。
英国の歴史、伝統のほか、英国人気質もよく分かる。
何かすごいことが起こるとかスリルがあるとか泣けるとかいうこと無しに人に読ませることのできる小説。
小説(ライトノベルではない)を読み慣れている人にはじわじわ染みてくるタイプ。

[雑記]
「日の名残り」というタイトルで太宰の「斜陽」を連想したが全然違った。
退廃的なところはない。
映画の「黄昏」(ヘンリー・フォンダ主演の)の方向のほうが近いかもしれない。ストーリーではなくタイトルの方向性の話。

Eテレの英語講師が美しい英語だと言っていた。
原書は読まない(読めない)が「・・・でございます」「・・・申します」風の訳が付いているので、英語もそのような風味なのだと思われる。
日本語にしてもたいへん美しい。
美しすぎて読めない漢字、わからない言葉があった。
峨々たる山脈 ^^;
この発言をさらに敷衍する ^^;

イギリスの国土は自分の美しさと偉大さをよく知っていて大声で叫ぶ必要を認めない、アメリカやアフリカの景観は騒がしいほど声高な主張。
めんどくさい褒め方。

うっかり冗談を口にし次の瞬間その場の雰囲気にまったくそぐわないとわかったときの悲惨さというものは想像しただけで身の毛がよだつ。
めんどくさい人。

そんな執事だが、可愛いことも書いてある。
旅行の経費を考えるのに、
宿泊代、食事代、路上でのおやつ代など・・・
うん、おやつ代は必要経費だ。

お屋敷のお庭の話。
普通は週に一度、夏には週に二度園丁に来てもらう。

執事が旅先で泊まったのは「ローズガーデン・ホテル」
窓からはバラ園が見えるそうな(^^)

コメント

  1. もも より:

    趣きのある言葉で織り上げられた作品かとお察しします。←読んだことない
    古く美しい言葉に疎くていけませんわ…。
    敷衍…読めませんし、使ったこともありません。それこそ、やさしい言葉で言い替えて説明してもらわないと(爆)。ふはまだしも、えん…えんですか。
    ワタクシ、活字は読むほうだろうと思うのですが、いかんせん小説などの美しい言葉で記された書物に触れることが少なくて…ロズレさんのブログを拝読しては己の不足を知るという有り様でございます。Amazonのリストに登録されているのも実用書や翻訳書の類ばかりで、反省しきりでございます。
    そこでお姉さまにご相談させていただきたいのですが、美しい語彙を身につけるのに適した書籍がありましたら、お勧めしていただけないでしょうか。

    • ラ・ロズレ より:

      あらまぁ、難題など困りますわぁ奥様←って方向違う^^;

      敷衍は一度では覚えられなくて二度引きしました^^;
      日本語の美しさを語る際にあがる名前は近代文学の方々が多いです、森鴎外、夏目漱石、谷崎潤一郎、などなど大御所の皆様。
      しかし残念ながら私は近代があまり得意ではありません。
      普段使わない言葉ばかりを知っていても頭でっかちな気もします。
      大和言葉が美しいと言ったところでうまく使えなかったらなんの意味もありません。
      となると好みの問題で、現代の中ではまったく揺らぎを感じない王道として上橋菜穂子さんはかなり好きです。私は読んでいて気持ちが良いです。
      上橋さんは児童文学の方ですし、あと詩や絵本で表現する谷川俊太郎さんとか、決して難解な言葉を使わずに作られている確固たる世界が美しいと私は感じます。ま、単なる好みですが。

      • もも より:

        上橋菜穂子さんのお名前さえ知らない…っ(汗)。読んでみますっ!
        ありがとうございました!
        谷川俊太郎さんは確かに素晴らしいですし、文章を書く際の心構えとして刺激を受けたこともあります。また読んで、再発見をしてみようかな~。

        • ラ・ロズレ より:

          上橋さんは、獣の奏者と精霊の守り人をNHKが映像(アニメまたは実写)化したくらいの正統派です。守り人は見ませんでしたが^^;
          難解ではないし、今どきのチャラチャラした表現などもひとつもないので、物語読んでるなぁ、物語ってこうだよなぁ、物語っていいなぁ、と思っていただけるよう願っています。