読書も楽しい

読書の秋とよく言いますね。
どんな本を読むか。どんな本が秋らしいか。ちょっと考えてみてください。
恋愛小説?うんうん、夏が終わって枯葉散る秋っぽいぽい。
推理小説?夜風の冷たさが背筋の冷たさに連動して秋っぽいぽい。
哲学書?学問してるぞ!という感じがして秋っぽいぽい。
旅のエッセイ?紅葉狩りに温泉に山菜料理も秋っぽいぽい。
では、空飛ぶ絨毯のお話しはどうでしょう?
西の彼方のどこかの国で、夕焼けのモスクの尖塔の間をぬって絨毯が飛んでいる様子を想像してみてください。絨毯に乗っているのは誰でしょう?アラジンと魔法のランプ?千夜一夜物語?
 
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『空とぶじゅうたん』という本です。
 
絨毯はね、空を飛ぶのです。
王様の絨毯や魔法使いの絨毯だけではありません。絨毯は部族によって文様が違っていたり、お嫁入りに持っていったり、生活に欠かせない大切なもの。金ぴかしているのだけが絨毯ではありません。
素敵ですよね、飛ぶんですよ。
日本の誇る伝統工芸”はなござ”が空を飛んだ話しは聞きませんからねぇ。やっぱり絨毯は不思議なものです。
 
この『空とぶじゅうたん』のお話しのいいところは、とっても想像力がいるところ。
短編がいくつか入っているのですが、その中のひとつ「砂漠をおよぐ魚」では20年ぶりに砂漠の村を訪ねたハミード青年は絨毯織りの娘ソラヤと再会します。織り機を挟んで思い出話をするふたり。そして 
『ハミードはたまらなくなって、織り機の向こう側にまわりました。ソラヤは消えていました。織り機の向こう側には誰もいません。使い古した木の長椅子の上に、ピンクの毛糸の切りくずが、魚のように身をそらして散らばっているだけです。そして長椅子の下には、黒いチャドルが脱ぎ捨ててありました。』
 
これでこのお話しが終わります。
この後どうなったのでしょうね。
秋の夜長、絨毯と一緒に想像もどこまでもどこまでも空を飛びそうですね。
 
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作者:新藤悦子さんの
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    私の好きな本『青いチューリップ』
 

コメント

  1. まざあぐうす より:

     ラ・ロズレさん、早速のトラックバックありがとうございます。

     「砂漠をおよぐ魚」の引用の箇所、とても文学的な表現で私も大好きな箇所です。味わいの深い絵本、美しい絵本として復刊されて、本当にうれしいです。

     この2冊の絵本を読んで眠ると、じゅうたんに乗って、空が飛べそうな気がしてきます。すてきなご紹介ありがとうございました。

  2. ラ・ロズレ より:

    まざあぐうすさん、こんにちは。
    やっといいお天気になりましたね。こんな陽気のときに絨毯に乗って空を飛んだら気持ちがいいでしょうね。雨の日や風の日は嫌ですね(笑)
     
    『空とぶじゅうたん』の本の持つ雰囲気がとても好きです。
    「バラ園」という言葉も出てきたのが嬉しかったです(笑)
    中近東の方々もも薔薇好きですからね。特に赤い薔薇が。
    どこかの部族の文様が赤い薔薇だったらいいな、なんて、またまた想像が拡がります。