バラエン 其の四

バラエンシリーズもいよいよ最終回となりました。
今回は薔薇以外のページを見てみることにいたしましょう。
 
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球根のページで「パンクラ チユーム」「チユベローズ」などという私にはよくわからないものが売られています。
私が注目したのは球根ではなくこの文句。
 
「支那上海より入荷品」
「銀安の為めに非常に安價に入荷致しましたから此お値段で提供致します」
 
上海から輸入したのですね。
円高円安ではありません、銀安。凄いなー昭和ヒトケタ時代!
 
 
アカバンサスは12銭~新種の80銭まで。
カラーは10銭~新輸入の1円まで。
結構幅がありますね。
 
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球根ベコニヤはオランダから輸入です。
「第一回便入荷早々賣切れ御注文數完納出来ぬ先様に對し只々恐縮今回第二回便多量入荷いたしましたから早速御用命下さい」
ずいぶん人気商品です。1球60銭、5球2円80銭。
 
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ゼレニユーム(天竺葵)と書いてありますが、ゼラニウムのことですよね?
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全て名前が書いてあるのです。
メジヨールリンリン 濃桃一重大輪
サンライズ 桃色底白一重
花緑り 鮮かなる緋紅大輪 ・・・etc.
これは皆さんどれを買うか悩みそうです。
 
 
そして、ページの最後に載っている商品は・・・
  
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「嶄新高尚なる遊戯 家庭用 ベビーゴルフ」
「1931年 御庭の一部には是非ベビーゴルフを設置して頂かねばなりませぬ」
 
設置して頂かねばなりませぬ?(笑)
それはともかく。
園芸をやる昭和初期の方はやはり紳士なのですね。広いお庭をお持ちで(しかも洋風だから洋館にお住まい?)ゴルフもできるというのは資金力が必要だと思われます。
輸入花を通信販売で購入するなんて現代では当たり前ですが、この頃は誰にでもできたわけではないのでしょう。
その中でも薔薇は目録のトップを占める位置に載っています。
いつの時代のどんな人々にとっても、薔薇は一番!なのです。
こうして薔薇を繋いでくれた人々に、現代の広大なバラ園やイングリッシュローズや新品種を見せてあげたいものです。びっくりするでしょうね。話が弾むでしょうね。ふふふ(^^)
 
 
長いことバラエンにお付き合いいただきましてありがとうございました。
 

コメント

  1. ゆめ より:

    すごいすごい!やはりこんなすてきなお庭があったのですね~!
    ベビーゴルフを設置して頂かねばなりませぬ (爆))
    でも、旦那様と奥様がゴルフに興じておられる光景は、想像通りのお姿(^^
    それに、ベンチの重厚なこと!奥にはパーゴラだってあるし~!
    あ~!ステキ!この時代の方とお逢いしてお話伺いたいですね~!
    とても楽しく夢いっぱいの連載でした!
    バラはもちろん!球根類も今でもトップを走る品種がズラリ。
    やはり、時代を越えて愛され続ける花とそれを支えた人々に感謝感謝でございます。
    あ~!ほんとうに愉しゅうございました。

  2. KAZZ より:

    すごく面白かったです、バラエンの連載。この冊子はきっとある程度のご身分高き方々が手にしたのでしょうね。その時代にいたとしたら私のような下々のビンボったれには見たことも聞いたことも無かったでしょう(笑)。そういえば、母は7人兄弟の末っ子ですが、明治生まれの祖父は庭でりっぱなバラを栽培していたようです。うる覚えですが、結構大きな庭を持つ昔ながらの「農家」でした。牛・馬・豚もいました。ニワトリは〆て食べてました。(ベビーゴルフのようなシャレたものは無かったのですが、母は16歳から定年までゴルフ場でキャディーをしてました。)その株をお嫁入りのとき、母は分けてもらって庭に植えていたようで、私が小さい頃の写真にそのバラたちが写っています。。。。じいさん、一体どこから手に入れたんだろう?今となってはわかりません。

  3. ラ・ロズレ より:

    ゆめさんはやはりお庭に目が行きましたね?(笑)
    小学校の同級生で素敵なお屋敷に住んでいる子がいたのですが、やはりお庭でゴルフの練習が出来るようになっていました。それ以来お庭でゴルフは”最高級”のイメージ固定の私です。
    本当に紳士やその奥様と薔薇談義をしてみたいですね。HT以外の最新品種を見せたらどんな感想が返ってくるやら^^;

  4. ラ・ロズレ より:

    まぁ御爺様が薔薇を?!なんて素敵なのでしょう。
    もしかしたらこういう目録をご覧になってらしたかもしれませんねぇ。
    そう考えると俄然目録に現実味がわいてきちゃいます。
    KAZZさんも薔薇とお写真を?いいなぁ~。
    東京の下町に住んでいた祖父母の家にあったのは植木市で仕入れた渋い鉢植えズラリ。私が一緒に写ったのは縁日ですくった金魚です^^;;;

  5. Keiko より:

    本当に貴重な物を見せていただきありがとうございます。
    チューベローズはうちにもありますが、
    たそがれ時にとってもいい香りがするのです。
    ヨーロッパの植物の渡来はきっとフランシスコ・ザビエルの頃から始まったのでしょうが、昭和の初期にすでにこんなにもいろんなものが紹介されていたこと、今更ながら驚きです。
    今は私たちのような庶民でもバラ病にかかっていられる・・・いい時代ですね。(笑)

  6. ラ・ロズレ より:

    皆様根気良くお付き合いいただきましてありがとうございます。
    Keikoさんのお庭って本当に色々な植物があるのですね!
    そんな西洋のお花を70年も80年も前の日本でも育てていたなんて嬉しくなってしまいます。
    確かに、何の苦労も無く「薔薇♪薔薇♪」と庶民の分際で騒いでいられる現代に生まれて、良かったです!(笑)